◎暴力・虐待から逃れても~襲ってくるフラッシュバック・生きにくさ・後遺症~

トラウマと向き合う

自分が、子供のころから発達期、成長期にかけて虐待や暴力を受けて育った経験が、今苦しむ子供や、トラウマを抱えて心の傷による生きづらさを抱えている大人の方に少しでも役に立てばと思い、ブログを綴っています。私自身がトラウマを抱えたまま30年以上たち、一時は死ぬことばかり考えていましたが、今は平凡な生活に幸せを感じることができるようになってきました。

虐待やいじめ、暴力により、被害者が負わされる心の傷はとてつもなく深く、そう簡単に癒されるものではありません。特に虐待や暴力が家族によるものだったり、成長期に受けたトラウマは、その後の人生にずっと付きまとい影響を及ぼしつづけます。加害者や無関係だった人は、このトラウマを「ちょっと苦い思い出」とか「徐々に記憶が薄らいでいく」くらいのもの、ということがありますが、そんな生易しいものではありません。人生の中で心や体を蝕み生きづらさにつながります。成長期の暴力や虐待は、被害者の人生を狂わせるほど根がふかいものなのです。

子供は本来、一人で生活していけるようになるまで、親である大人の支援を受けて、家族の中で、安心感や幸福感を学びながら成長するべきですが、なかには虐待を受けながら暴力の中で生きなければならない子供もいます。そういう環境の中で育つしかなかった子供は、我慢に我慢を重ねているうちに自分でも知らず知らずのうちに、心や体に深い傷を負い、それに気が付いていません。痛いこと、悲しいことに蓋をして、暴力を受けていることを他人に悟られないように振舞ってしまうことも多々あります。その我慢を続けていると、暴力や虐待の環境から離れることができた後も、記憶が噴き出す形でフラッシュバックが起こります。

フラッシュバックは、自分の意思に関係なく突然起きます。よく、似たような場面に遭遇すると起こるというひともおられますが、私の場合は一人でお茶を飲んでいても、眠っていても突然フラッシュバックが襲ってきて息がくるしくなることもありました。私がフラッシュバックに苦しみだしたころ(30年ほど前)には、まだ世の中が、子供の虐待に対しての認識に疎い時代だったため、身近に相談できる人もあまりいませんでしたし、そのような事例を話すのはタブーとされていた時代でもありました。

そんな中でも私の話を聞いて理解してくれた人がいました。私が大学2年生のころ、臨床心理学の授業を担当されていた非常勤講師の先生でした。先生は定年まで法務教官として全国の少年院を渡り歩き少年院の子供たちと向き合ってこられた方でした。犯罪を犯した子供の心の傷についての講義を聴いてこの子供たちの心と、私自身の心に重なる部分が多くあることを感じ、授業の後、先生と少しお話をする機会をいただきました。数十分程度の会話でしたから先生に多くをお話しできたわけではありませんでしたが、先生は私の話を聞いて、「大変な思いをされたのに、よくここまで頑張って生きてきてくださいましたね」と優しい笑顔で褒めてくださいました。そして、フラッシュバックが起きた時に次のことを心に留めてみるように教えてくださったことがあります。

先生が教えてくださったことは、①過去のトラウマ的な出来事は、私の心や脳の細部にまで刻み込まれている。②その経験が刻み込まれた記憶が、自分の周り全体を恐ろしいものとして認識するようになってしまっている。③そして、悪いことが起こるすべての原因が自分にあると思い込みやすく、無意識のうちに自分を責めている。ということでした。そして、フラッシュバックが起きた時の対策として、①とにかく落ち着いて深呼吸をする。②フラッシュバックは過去の出来事が刻み込まれていることが原因で、今、自分は安全な場所にいるから安心して生きていけると自分に言い聞かせること。③このことについて自分は全く悪くないと自信を持つこと。を心がけることをすすめてくださいました。

その後、私はフラッシュバックが起きるたびに先生が教えてくださったことを繰り返しました。もちろん、それですべては解決できませんし、フラッシュバックは起きます。でも、あのひどい虐待や暴力は過去のもので、現在や未来のものではないということと、悪いことが起きたのは自分のせいではなかったと思うことで、少しだけですが、トラウマと向き合い、救われたと思います。

今、フラッシュバックで苦しんでいる方にも救われる日が来ることを願います。

今の時代、多くの人がストレスを抱えて生きていると思います。 私も成長期の家族からの暴力や虐待に30年以上たった今でもトラウマを残し、生きづらさを抱えて生きてきました。 でも、人はみんな幸せに生きる権利があります。今の人生がつらい過去の上にあるとしても、そして、自分を取り巻く状況が厳しいものであっても、人の心や幸せの意味を考えてみんなに幸せになってもらいたいと思います。 いろいろあっても、工夫して、自分を癒し、人を癒し、明るい未来に向かいたいです。