◎トランスジェンダー

●トランスジェンダー 娘からのカミングアウト

皆さんは、身近な人からLGBTに関する相談やカミングアウトを受けたことがありますか?そんな時、どういう気持ちになったでしょうか。私も以前、テレビの番組でLGBTの方が親や友達などにカミングアウトするところや、それに対するカミングアウトされた側の反応などを見たことがあります。

その時は、もちろん自分が当事者になることになるとは考えずに見ていました。

カミングアウトする方からは理解してもらいたい、とか、認めてもらいたいという気持ちが伝わってきましたし、受ける側からは、自分には無い感覚に戸惑いつつ、受け入れるように努めたり、理解できない気持ちに苦しんだりしている気持ちが見て取れることがありました。

ここでは、私が娘からトランスジェンダーのカミングアウトを受けた時のことを書きたいと思います。もし、カミングアウトしようとしている方、カミングアウトを受けて、どのような気持ちでいたらよいか悩んでいる方がおられたら、一つの例として、参考にしていただければ幸いです。

1 話したいことがあるので電話していい?

娘が、24歳の時です。

東京で公務員をしている娘から、いつになく訳ありげにLINEのメッセージが送られてきました。

娘からのLINE→『話したい事があるので時間欲しいのですが、20時くらいに電話してもいい?』

私からの返信→『その時間はちょっと出かけているかもしれないから20:30ごろ、こっちから電話するよ』

娘からのLINE→『了解』

いつもなら、用件はLINEで済ます娘。もちろん用事が無くても、近況報告や面白い写真などはちょこちょこLINEで送られてくることはよくあります。電話も、用事がなくてもかかってきて、世間話やいろいろな近況報告をしてくることもあります。でも、わざわざ話したいことがあると事前に告知したうえで電話をするなんて初めての事でしたので、じっくり腰を据えて話を聞こうと思いました。

そして、私から電話をしました。

私『もしもし。元気?どうしたの』

娘『あー元気だよ。ちょっと話したいことがあってね。』

何か、話したいけどどう話していいか、何から切り出したらよいのか、悩んでいるような娘の声。言いにくいけど大事な話という雰囲気を察しました。そして、声の感じから、あまりいい良い報告ではないような感じが、伝わってきました。

妊娠でもした?結婚とかで悩んでる?それともコロナに感染したのかな?重大な病気が見つかった?怪我でもした?まさか借金で困ってる?厄介なトラブルにでも巻き込まれた?一瞬の間に、いろいろな事態が頭をよぎりました。

遠く離れて暮らしているぶん、娘の普段の生活は見えません。でもいつも元気で楽しく幸せでいてくれればいいなと思いつつ、困ったことはないか、悩んでいることはないかなどの心配はしています。

私『どうした?なんか困ってる』

娘『困ってるっていうか…。』

そして娘は意を決したように話し始めました。

2 わたし、トランスジェンダーなんだよね

娘『あのね、実はさ、わたしトランスジェンダーなんだよね』

私『ああそうなの。』

娘『そうなんだよね』

そこから話がなかなか進みません。娘とは高校を卒業するまで一緒に暮らしていました。子どものころから、ボーイッシュな服装や髪型を好み、よく男の子と間違えられることがありました。でも、男の子になりたいと思っているような感じでもなく、友達とも楽しく学生生活を送っているように見えましたし、お年頃になれば女の子らしくなるのかな、というくらいに思っていました。でも、今ここでトランスジェンダーだと本人が言っているということは、今後、女の子として生きていくことをやめたいということなんだろうと察しました。

私『それで、どうしたいの?』

娘『今すぐではないけど、いずれは性転換なども考えてる。』

私『そうなんだ。仕事は続けていけるの?』

娘『仕事は大丈夫。実際、性転換となると、部署とかは変わるかもしれないけど。同じようにトランスジェンダーの先輩がいて、性転換もしていて、法的に戸籍も男性になってて、ちゃんと仕事も生活もできる。その先輩からも、いろいろ方法とか聞いて教えてもらってる。』

私『生活の基盤がちゃんと守れるのなら、あとは、あなたが納得して、元気で、楽しく幸せに生きていけるのなら、それでいいと思うよ』

そんな感じのやり取りがあった後、娘は泣き出した。

娘『でも、そうすると、この先私は結婚することもないし、子どもを産むこともないし、もしそういうことを期待されていたら、悪いなと思って…』

娘は、私に対して、そういうことを悪いと思って心配していたのか。今まで、親である私に対して、いろんなことで、期待に応えなければいけないと思って頑張ってきたのかなと思い、少し切なくなりました。

私『結婚とか、子どもとか、そんなことは私に気を使わなくていいよ。そもそも、結婚も出産も自分がしたかったらするもので、周りに期待されてするものではないでしょ。』

娘『でも、男になるには、手術して子宮をとったり、戸籍変更で裁判もしないといけないし、名前も変更しないといけないから、普通とは違うことをしていかなければならない』

私『自分がそうしたいと思うなら、自分の思うように生きたら良いよ。私には何も遠慮することはない。私はあなたが、元気で楽しく幸せに生きていってほしいだけ。あなたが男でも女でも、私にとってはかわいいかわいい子どもであることには違いないんだから』

娘『ありがと』

娘からの、カミングアウトはこんな感じでした。

3 カミングアウトを受けて

これまでに私は、子どもが親に、トランスジェンターであるということを告白する場面を何度かテレビで見たことがありました。その時のカミングアウトを受けていた親の反応は、多くは、まず戸惑っていたようでした。そして、子どもに『どうにかならないの?』とか『また気が変わるかもしれないから様子見たら?』などと言っている親もいたように記憶しています。とりあえず、自分の子どもがトランスジェンダーであるということは、すぐには受け入れられない、というようにお見受けしました。それを見ているときには私は自分がその当事者になるかもしれないということは、全く想像していませんでした。

そして、今回、私はその当事者になりました。ある日突然、娘からトランスジェンダーのカミングアウト。

電話でカミングアウトを受け、娘からの電話を切ったあと、まず思ったことは、『そうか』ということだけでした。次に思ったのは、『男の子に生んでやれなくて申し訳なかったなぁ』と思い、そのあと『これから、私にしてやれることはなにかあるのか?』と考えました。それについては、今もいろいろなことを思いめぐらせていますが、具体的に今何かをすればよいという案は出てこず、とにかく、娘が楽しく幸せな気持ちで生きられることを祈っているだけです…。これから、苦労したり嫌な思いをしなければならないこともたくさんあると思います。でも、私はいつでも娘の理解者でありたい、そして、いつも心から応援していきたいと思っています。

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今の時代、多くの人がストレスを抱えて生きていると思います。 私も成長期の家族からの暴力や虐待に30年以上たった今でもトラウマを残し、生きづらさを抱えて生きてきました。 でも、人はみんな幸せに生きる権利があります。今の人生がつらい過去の上にあるとしても、そして、自分を取り巻く状況が厳しいものであっても、人の心や幸せの意味を考えてみんなに幸せになってもらいたいと思います。 最近、保育の勉強に興味をもちました。学んでいると、まるで自分を育てなおしているような気持になります。学んだことをブログにもまとめていますので興味のある方は是非ごらんください。育児中の方などにもお勧めです。