④社会福祉

●現代社会と福祉ニーズ

1 福祉ニーズの類型

生活者としての人が、社会生活を営む上で必要があるのにも関わらず、個人では充足が難しいために、社会的に充足する必要があるとされるようなことを、福祉ニーズと言います。

〇ブラッドショウが提唱した、4つの福祉ニーズに、次のようなものがあります。

・フェルトニーズ(感得されたニーズ、自覚ニーズ)

フェルト(felt)は「感じる(feel)」の過去分詞形で、「感得された」という意味なので、本人が自覚しているニーズや欲求のことを言います。

・エクスプレストニーズ(表明ニーズ)

エクスプレスト(expressed)は「表明された」という意味で、クライエントが他人にわかるように表明したニーズのことです。

・コンパラティブニーズ(比較ニーズ)

コンパラティブは「比較する(compare)」という意味です。人や他の集合体の状態との比較によって顕在化するニーズのことです。同じ特性を持つ別の人や地域などとの比較によって明らかにされるニーズです。

・ノーマティブニーズ(規範的ニーズ)

ノーマティブは「規範的」という意味です。福祉専門家などによる、価値基準や科学的判断に基づく絶対的基準との比較によって顕在化するニーズのことを指します。

2 現代社会の特徴と福祉ニーズの充足

社会福祉に関わる諸制度も、社会の変化の中で、その都度、整備が図られてきました。

貧しい社会における貧困者の救済を中心とした選別的な社会福祉から、豊かな社会の中における国民生活の下支えとしての社会福祉へ、少子・高齢社会において安心できる社会福祉へと変化してきました。

 現代社会においては、社会福祉の制度が充実してきたにもかかわらず、社会や社会福祉の手が社会的援護を要する人々に届いていない事例が見られることもあります。

 現代社会においては、その社会における人々の「つながり」が社会福祉によって作り出されるということも認識する必要があります。特に、現代社会においてはコンピューターなどの電子機器の開発・習熟が求められるます、人々の「つながり」の構築を通じて偏見・差別を克服するなど人間の関係性を重視するところに、社会福祉の役割があります。この場合における「つながり」は共生を意味し、多様性を認め合うことを前提としています。

〇家庭機能の外部化と社会化

かつては家族が担っていた家庭機能を外部に委託することや、病気や老齢化等によるリスクを社会全体で共有することを、家族機能の外部化や社会化と言います。

子育て中の家庭が保育所を利用したり、介護などに関する年金や介護保険の制度などがこれにあたります。

〇生活の私事化

人間関係や組織に対して適度に寄りを置いて、自分自身のプライベートな領域は確保したいという人の生活を言います。子育てや介護を行う家族のためのレスパイトケアの提供などのことをいいます。

〇QOLの追及

現代社会では、物質面や身体面以外においても、人は豊かさを追求して生きています。生活の質の工業やウェルビーイングを保障するために、福祉サービスの多様化による質的充足が大切になっています。

〇家族や地域社会との関係への対応

家庭内暴力や児童虐待、DVなどの人権侵害は、昔から存在していたものですが、近年その対応も社会福祉の重要なニーズになってきました。

〇就労環境の改善

就労環境の悪化は、社会の活力の低下や少子化などを引き起こすことがあります。そのため、就労環境を改善して、ワーク・ライフ・バランスを図るためにいろいろな取り組みが行われています。

3 現代社会の実態・少子高齢化問題

少子高齢化は日本における重大な問題です。世界を見てみると先進諸国では日本同様に少子化や高齢化が進んでいますが、その中でも日本は群を抜いて少子高齢化が加速しています。

少子高齢化は非常に深刻で、経済、自治体、社会保障制度それぞれに影響を及ぼします。

〇経済への影響

経済活動は労働力人口に左右されますが、人口急減・超高齢化に向けた現状の流れが継続していくと、労働力人口は加速度的に減少していきます。

急速な人口減少により国内市場の縮小がもたらされると、投資先としての魅力を低下させてしまいます。

加えて、労働力不足解消のための長時間労働の深刻化やワーク・ライフ・バランスが改善されないことにより、少子化がさらに進行していくという悪循環が生ずる恐れも懸念されています。

こうした少子化による人口急減と超高齢化による経済へのマイナスの負荷が、需要面や供給面の両面で働き合って、マイナスの相乗効果を発揮してしまいます。

一度経済規模の縮小が始まると、さらに縮小を招くという負のスパイラルに陥るおそれがあります。国民負担の増大が経済の成長を上回り、実際の国民生活の質や水準を表す1人当たりの実質消費水準を低下させ、国民一人ひとりの豊かさが奪われるような事態が訪れる可能性もあるのです。

〇自治体への影響

市区町村毎の人口動向を地域ごとの出生率で見ると、急速に低下しています。

地方圏から大都市圏への人口移動が現状のまま推移する場合、地方圏以上に出生率が低い東京圏への人口流入が続いていくことにより、人口急減・超高齢化の進行に拍車をかける危険性が指摘されています。

超高齢化になると、地方圏を中心に4分の1以上の自治体で行政機能をこれまで通りに維持していくことが困難になる可能性があります。

さらに東京圏では現状が継続することで、これまで地方圏で先行してきた人口減少と高齢化が、今後は大都市圏、特に東京圏においても急速に進行していくとされています。

人口が集中する東京圏での超高齢化の進行によって、グローバル都市としての活力が失われ、多数の高齢者が所得や資産はあっても医療・介護の受け入れ先が不足し、サービスを受けられない事態を招きかねません。

〇社会保障制度への影響

1960年の日本では高齢者1人を支える労働者人口の人数は11.2人でしたが、少子高齢化により2014年では2.4人となりました。

少子高齢化がこのまま続くと2060年には高齢者1人に対して労働者人口が約1人で支えることになります。仮に合計特殊出生率が回復したとしても2060年に1.6人、2110年には2.1人で支えると推計されています。

このような少子高齢化の進行による影響により、医療・介護費を中心に、社会保障に関する給付と負担の間のアンバランスは一層強くなります。

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今の時代、多くの人がストレスを抱えて生きていると思います。 私も成長期の家族からの暴力や虐待に30年以上たった今でもトラウマを残し、生きづらさを抱えて生きてきました。 でも、人はみんな幸せに生きる権利があります。今の人生がつらい過去の上にあるとしても、そして、自分を取り巻く状況が厳しいものであっても、人の心や幸せの意味を考えてみんなに幸せになってもらいたいと思います。 最近、保育の勉強に興味をもちました。学んでいると、まるで自分を育てなおしているような気持になります。学んだことをブログにもまとめていますので興味のある方は是非ごらんください。育児中の方などにもお勧めです。