暴力・虐待を受ける日常が始まった
壮絶な暴力虐待が日常となったのは私が小学校3年生、8歳の時だった。
それまでは夜になると、支配的な父と、常に父に従う母が、厳しい教育という名目で兄と私を殴ったり蹴ったり怒鳴ったりということはあったが、親とはそんなものだと思っていた。もちろん暴力は身体的に苦痛であり殴られていつまでたっても鼻血が止まらないと悲しくなることもあった。でも、父の暴力には、父の言うことさえ聞き父の好むように振舞うことを約束すればどうにかなるというゴールのようなものがあった。今考えるとそれもとても異常なことなのだが‥。
私が小学校3年生、兄が小学校6年生のころ母がフルタイムの仕事を始め、毎日学校から帰ると夜まで兄と二人の生活が始まった。母が家にいたころは全く暴力的な雰囲気もなかった兄が突然私に殴りかかった。
学校から帰ってから母が仕事から帰ってくる3時間くらいの間。頭や腹を殴る、蹴る、髪を引っ張り階段の上に連れていき思いっきり蹴って突き落とす。靴で後頭部を殴る。それを毎日必ず数十発づつ。まるで何かに取りつかれているかのように。薄ら笑いを浮かべ、全く無抵抗の私に罵声を浴びせながら母が帰る時間いっぱいまで兄は暴力を続けた。
そして、母の帰ってくる足音が聞こえる。すると、兄の暴力はピタッととまり。普通の少年のように明るく元気な兄の表情にもどる。兄は飛び切り明るい声で「お母さん、お帰り~!」と母に駆け寄り学校であったことなどを話している。仕事で疲れて帰ってきた母にはそんな兄の出迎えは嬉しかっただろう。私は数分前まで暴力を受けていて激しい痛みと恐怖が急には消えない。でも、それは母には言えない。家は次の日はもっと暴力がひどくなると分かっているから。
暴力・虐待は人知れず始まる。暴力や虐待をする加害者はそれの行為により達成感や満足感を得ているのだろう。そしてその成功体験をもとに、どんどん暴力はエスカレートする。当時の自分の経験を思い、今虐待に苦しむ子供たちをどうにか助けたいと思う。