①保育の心理学

●生涯発達と発達課題(保育の心理学)

1 生涯発達

子孫を残すことが生涯の目的となる動物たちとは違い、人間は大人になってからもいろいろな発達を続けます。発達心理学では、近年、新生児から老年期までの生涯における発達過程を「生涯発達」という言葉で表すようになりました。

もともと、発達心理学では、児童心理学や青年心理学など子どもが大人になるまでの発達の過程を中心に研究などされてきました。しかし、その考え方では人間は大人になってからは成長しないで老化していくだけということになってしまいます。

発達心理学者バルテスは生涯発達を、獲得と喪失が相互に関連しながら、生涯にわたって進む過程であると考え、特に高齢者の知恵や老年期の英知という観点から生涯発達の重要性を主張しました。

2 ライフサイクルと発達課題

生涯発達という視点から人生全体を見ると、それは生まれてから死ぬまでをい周しながら次の世代へと続いていくライフサイクル(人生周期) ととらえることができます。また、ライフサイクルのそれぞれの時期をライフステージといい、そのライフステージごとに次のステージに進むために一つずつ達成が望まれる課題があります。これを「発達課題」といい、「発達課題」を達成できないと、次のライフステージへ進むのに影響が出るだけでなく、今いるステージにおいても適応に問題を生じるといわれています。

3 エリクソンの心理・社会的発達理論

アメリカの精神分析家、発達心理学者エリクソンはライフサイクルを8つの発達段階に分け、生涯発達理論の草分け的存在となりました。エリクソンの心理・社会的発達理論は、オーストラリアの精神科医フロイトの発達理論をベースにしたもので、アイデンティティ(自我同一性)と統合しながら発展をさせました。

エリクソンによると、自我はそれぞれの発達段階において、発達を脅かす心理・社会的危機を経験してそれを乗り越えることで次の発達段階に進んでいく強さを勝ち取っていくとされています。

例えば、乳児期の発達課題は「基本的信頼感」の獲得ですが、それは家族や環境に対する不信な状態を乗り越えて信頼をすることができるようになることで、乳児は「希望」を獲得することができる、いうことです。ここで家族や環境に対する不信を乗り越えられなかった乳児は、その後の発達段階においても同じ課題に引き戻されることになります。

エリクソンのライフサイクルにおける8つの発達段階、発達課題などについて下の表にまとめましたので、チェックしてみてください。

4 エリクソン 8つの発達段階・発達課題

 発達段階発達課題発達を脅かす心理社会的危機獲得する強さ
乳児期
(0~1歳ごろ)
基本的信頼感不信を乗り越えて信頼希望
幼児期前期
(1~3歳ごろ)
自律性恥、疑惑を乗り越えて自律意志
幼児期後期
(4~6歳ごろ)
自主性罪悪感を乗り越えて自主性目的
学童期
(6~12歳ごろ)
勤勉性劣等感を乗り越えて勤勉性能力
青年期
(12~22歳ごろ)
アイデンティティ自我同一性の拡散を乗り越え自我同一性忠誠
成人期前期
(22~30歳ごろ)
親密性孤立を乗り越えて親密性
成人期
(30~65歳ごろ)
生殖性(世代性)停滞を乗り越えて生殖性世話
老年期
(65歳~)
統合絶望を乗り越えて統合知恵 英知
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今の時代、多くの人がストレスを抱えて生きていると思います。 私も成長期の家族からの暴力や虐待に30年以上たった今でもトラウマを残し、生きづらさを抱えて生きてきました。 でも、人はみんな幸せに生きる権利があります。今の人生がつらい過去の上にあるとしても、そして、自分を取り巻く状況が厳しいものであっても、人の心や幸せの意味を考えてみんなに幸せになってもらいたいと思います。 最近、保育の勉強に興味をもちました。学んでいると、まるで自分を育てなおしているような気持になります。学んだことをブログにもまとめていますので興味のある方は是非ごらんください。育児中の方などにもお勧めです。