①保育の心理学

●初期経験の大切さ(保育の心理学)

1 インプリンティング・刷り込み

動物にとって(人間を含め)、生まれてからすぐに経験する初期経験はとても大切な意味を持ちます。
オーストラリアの動物行動学者ローレンツはハイイロガンを使った研究で、ヒナが生まれて初めて見た動くものを、親だと思い込むことを発見しました。これをインプリンティング(刷り込み・刻印付け)といいます。

インプリンティングは生まれてから30時間くらいの間に1度の学習で成立してしまい、後から修正することが不可能です。ですから、ハイイロガンのヒナにとっては生まれてから1日目の経験が生涯に決定的な影響力を持つということになってしまいます。

このインプリンティングは、人間にとっては愛着の形成の一部分にあたると言われています。人間の場合はハイイロガンとは違い再学習が可能で早期のケアがあればその後の影響は修復できることが多いです。

2 臨界期・敏感期

人間の発達において、インプリンティングのようになる時期を逃すと後から獲得することが難しかったり、獲得した後では修正が難しい時期があります。これを「臨界期」といいます。

例えば、お母さんの妊娠中おなかの中では胎児の主要な器官や脳などが形成、発達していく時期です。この時期に薬物や疾患、アルコールなどの影響があると、器官や脳の発達に遅れが生じるなどの影響がおきることがあります。しかし、出生後の発達の中では、取り返しのつかない臨界期があるかどうかについては議論があり、愛着関係や言語の取得などについては、取り返しがつかないというほどでもないけれど、学習などに有利な時期という意味では、「敏感期」といわれることもあります。

3 離巣性と就巣性

スイスの動物学者ポルトマンは哺乳類や鳥類を「離巣性」と「就巣性」の2種類に分けました。

離巣性とは…生まれてすぐに巣だつ動物で、ゾウや馬など、比較的大型の哺乳類が離巣性を持ちます。離巣性の動物の特徴は、大型動物で、一匹のお母さんから生まれてくる赤ちゃんの数が少ないことです。また、妊娠期間が長いため、体の器官や脳などがお母さんのおなかの中で、ある程度成熟されてから生まれてくるという特徴があります・

就巣性とは…生まれてからある程度の期間巣に居座るという性質があります。鳥類やネズミなどの小型の哺乳類がこの性質を持っています。一度にたくさんの赤ちゃんを産み、妊娠期間が短い動物は、未成熟な状態で生まれてくるため、一定の期間、巣の中で育てられます。

4 二次的就巣性・生理的早産

人間は、離巣性の動物と同じ特徴を持ちながら、就巣性の動物のように、一定期間(長期間)家族のもとで保護されながら過ごします。このことから、ポルトマンは人間を「二次的就巣性」として、人間だけになるこの性質の理由を「生理的早産」としました。

「生理的早産」とは人間の赤ちゃんが本来おなかの中で育つべき期間よりも1年くらい早く生まれてきていることをいいます。人間の脳が進化の過程で大型化してきたために、成熟するまでお母さんのおなかの中にいると、大きくなりすぎて出産が大変になったため、生理的早産が起きるようになったといわれています。だから、人間の赤ちゃんは出生後、ほかの動物に比べて、きめ細やかな養育を必要とするのです。

〇 初期経験に関係する人物まとめ

ローレンツ……インプリンティングを唱えたオーストラリアの動物行動学者

ポルトマン…離巣性と就巣性、二次的就巣性と生理的早産を唱えたスイスの動物学者

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今の時代、多くの人がストレスを抱えて生きていると思います。 私も成長期の家族からの暴力や虐待に30年以上たった今でもトラウマを残し、生きづらさを抱えて生きてきました。 でも、人はみんな幸せに生きる権利があります。今の人生がつらい過去の上にあるとしても、そして、自分を取り巻く状況が厳しいものであっても、人の心や幸せの意味を考えてみんなに幸せになってもらいたいと思います。 最近、保育の勉強に興味をもちました。学んでいると、まるで自分を育てなおしているような気持になります。学んだことをブログにもまとめていますので興味のある方は是非ごらんください。育児中の方などにもお勧めです。